症例報告
腹部鈍的外傷による胆汁性腹膜炎後に総胆管狭窄をきたした1例
牛島 聡, 池谷 朋彦, 清崎 克美, 丸岡 秀範, 花立 史香, 若狭 林一郎, 村田 修一
氷見市民病院外科
鈍的外傷による胆管損傷,外傷後胆管狭窄はまれな疾患である.最近,われわれは腹部鈍的外傷による胆管損傷後に総胆管狭窄をきたした症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告した.
症例は47歳の男性で交通事故で腹部を強打し腹痛を訴えて来院した.Computed tomography所見などから肝損傷として保存的に加療したが発熱,腹痛著しくなり受傷後32日に初回手術を行った.腹腔内に約5,200 mlの胆汁を認めるも胆管損傷部位の同定ができずドレーン留置のみ行った.受傷4か月後に黄疸出現し,精査の結果下部胆管に完全閉塞を認めた.Percutaneous transhepatic biliary drainage施行後,バルーン拡張術を試みるも不成功.受傷後235日に2回目手術として胆嚢摘出術,胆管十二指腸端側吻合術を行った.
術後経過は順調であり,術後11か月経た現在,患者は健在である.
索引用語
traumatic rupture of the bile duct, benign stenosis of the common bile duct, choledochoduodenostomy
日消外会誌 23: 2648-2652, 1990
別刷請求先
牛島 聡 〒935 富山県氷見市幸町31-9 氷見市民病院外科
受理年月日
1990年6月13日
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