食道癌術後のエンドトキシン血症に関する検討―免疫療法の効果を中心に―

米川　甫, 島　伸吾, 後藤　正幸, 森崎　善久, 吉住　豊, 杉浦　芳章, 田中　勧

防衛医科大学校第2外科

　胸部食道癌患者を対象に手術前後の血中endotoxin（Et）を測定し，OK432による術前免疫療法が術後の高Et血症を抑制することを明らかにした．
　1）術前に免疫療法を行わなかった10例のEtは術前13.9 pg/mlであり，術直後から第1病日の37.0 pg/mlをピークとして第5病日まで有意な増加がみられた．
　2）術前にOK432を5 KEずつ4～6回皮内投与した7例では手術前後のEtには有意な変化が認められなかった．
　3）両群を比較すると第1・3病日のEtは免疫群において有意に低値であった．
　4）しかし術前後の血小板数，補体（CH₅₀），類粒球エラスターゼ，血液ガス（RI）は術前免疫療法の有無で差がなかった．
　5）この理由として，（1）食道癌術後のEtの増加の程度は臨床経過に影響するほど大きくない，（2）現在のEtの測定法に問題があるという2つの可能性が考えられた．

索引用語
endotoxin, postoperative endotoxemia, carcinoma of the esophagus, preoperative immunotherapy, OK432

別刷請求先
米川　甫　〒359　所沢市並木3-2　防衛医科大学校第2外科

受理年月日
1990年9月12日

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