原著
胃静脈瘤の局在と内視鏡的性状からみた治療法の選択とその成績に関する検討
鈴木 修一郎, 桐山 誠一, 山田 明, 島崎 邦彦, 野村 直樹, 山岸 文範, 霜田 光義, 白崎 功, 櫛渕 統一, 坂本 隆, 山下 芳朗, 唐木 芳昭, 田沢 賢次, 藤巻 雅夫
富山医科薬科大学第2外科
当科における胃静脈瘤65例を内視鏡的に3型(Lg-c:噴門部周囲静脈瘤.Lg-cf :噴門部周囲から窮隆部に及ぶ静脈瘤.Lg-f:窮隆部孤立性静脈瘤)に分類し,その局在,内視鏡的性状からみた治療法の選択および成績について検討した.(1)胃静脈瘤の内Lg-cは53例,Lg-cf 7例,Lg-f5例であった.(2)Lg-cでは食道静脈瘤を全例に併存し,かつ連珠状の高度食道静脈瘤であった.Lg-cf,Lg-fになるほど併存食道静脈瘤の程度は軽度かつ低頻度であった.(3)胃賢短絡路は胃静脈瘤が高度になるほどその頻度は増え,Lg-fでは4例中4例に認めた.(4)Lg-cでは手術,硬化療法とも高率(85%以上)に治療効果を認めた.Lg-cfでは,食道,胃静脈瘤ともに効果のある治療法の選択が必要であり,併用療法(Hassab手術+硬化療法)の3例ではいずれも胃静脈瘤の消失をみた.Lg-fは胃静脈瘤直接の治療が必要であり,その治療法は現状ではHassab手術が適当であるが,硬化療法は今後の課題である.
索引用語
gastric varices, gastrorenal shunt, endoscopic sclerotherapy, Hassabs operation
日消外会誌 23: 2735-2740, 1990
別刷請求先
鈴木修一郎 〒930-01 富山市杉谷2630 富山医科薬科大学第2外科
受理年月日
1990年9月12日
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