症例報告
胃脂肪腫の直上粘膜に発生したIIa型早期胃癌の1例
佐藤 徹, 茂木 好則, 東 弘志, 津嶋 秀史1), 河村 正敏1), 小池 正1)
千葉県東病院外科, 昭和大学外科1)
胃脂肪腫は比較的まれな疾患であるが,今回,その直上粘膜にIIa型早期胃癌を併発した1例を経験したので報告する.
症例は77歳,女性.健診の胃内視鏡検査にて異常を指摘され,精査目的にて入院,胃角上部小弯側前壁寄りに胃粘膜下腫瘍を認め,その直上粘膜にIIa型早期胃癌を併発しており,胃亜全摘手術を施行した.
病理組織学的には粘膜下層の脂肪腫およびその直上の粘膜内にとどまる中分化型腺癌と診断された.胃脂肪腫に胃癌を併発した症例は,本邦では17例が報告されているにすぎない.しかも直上の粘膜に胃癌が発生した報告はなく,きわめてまれな症例と思われた.
索引用語
lipoma of the stomach, gastric cancer, submucosal tumor of the stomach
日消外会誌 23: 2798-2802, 1990
別刷請求先
佐藤 徹 〒142 品川区旗の台1-5-8 昭和大学医学部外科
受理年月日
1990年7月10日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|