症例報告
イレウス症状を呈した原発性小腸癌の2例
小出 圭, 加藤 良隆, 清光 六郎, 三浦 義夫, 岡本 太郎, 則行 敏生, 岩本 俊之1)
広島鉄道病院外科, 同 中検病理1)
原発性小腸癌は,比較的まれな疾患であるが,われわれは最近2手術症例を経験したので報告する.症例1は59歳男性,イレウス症状で発症,CA19-9の高値および,小腸造影でTreitz靭帯より10 cm肛側で全周性の狭窄を認めた.腫瘍は同部の空腸にあり,空腸および回腸の腸間膜付着部側に動脈血行性転移と思われる小病巣を多発性に認めた.原発巣を含む空腸部分切除を行いえた.術後1年5か月で死亡した.症例2は53歳女性.約6か月間心窩部痛,悪心,嘔気が続き,イレウス症状が出現,小腸造影で空腸末端付近での閉塞を認めた.腫瘍はTreitz靭帯より130 cm肛側の空腸にあり,napkin ring constrictionを認め,腹膜播種もあった.空腸部分切除を行った.術後1年11か月で死亡した.
索引用語
primary small intestinal cancer, napkin ring constriction
日消外会誌 23: 2828-2832, 1990
別刷請求先
小出 圭 〒732 広島市東区二葉の里3-1-36 広島鉄道病院外科
受理年月日
1990年9月12日
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