症例報告
回腸のblind loopに多発した小腸癌の1例
唐原 和秀, 内田 雄三, 柴田 興彦, 村上 信一, 葉玉 哲生
大分医科大学第2外科
回腸のblind loopに発生した多発性腺癌の1例を報告した.
症例は77歳女性で52歳時(25年前)に回腸末端炎によるイレウスに対して,回腸横行結腸吻合術を受けた.昭和60年9月より,胃潰瘍にて近医で治療をうけていたが,昭和62年4月,胃潰瘍穿孔による腹膜炎で緊急手術が施行された.広範囲胃切除術ならびに胃十二指腸吻合術(Billroth I法)とともに,回腸上行結腸のblind loop部の切除と回腸横行結腸吻合術を行った.
切除標本の肉眼所見では,回盲弁(Bauhin弁)の変形と高度の狭窄が見られ,blind loopを形成している回腸粘膜に多発性の潰瘍性病変がみられた.組織学的には,多発性潰瘍6個のうちの3個に分化型腺癌が認められ,腸間膜まで浸潤していた.Crohn病や,結核などの所見はなかった.術後の経過は順調であったが,11か月目に他院にて,癌再発で死亡した.
索引用語
carcinoma of the ileum, blind loop
日消外会誌 23: 2833-2836, 1990
別刷請求先
唐原 和秀 〒879-56 大分県大分郡挟間町医大が丘1丁目1番地 大分医科大学第2外科
受理年月日
1990年9月12日
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