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第24巻 第1号 1991年1月 [目次] [全文 ( PDF 638KB)]
原著

良性疾患胃切除患者の追跡調査による死因分析―悪性腫瘍,特に残胃初発癌を中心に―

岩瀬 拓士, 関 誠, 高木 國夫, 高橋 知之

癌研究会附属病院外科, 春日部厚生病院外科

 残胃における癌発生の危険度を知るために,良性疾患で胃切除術を行った患者を長期追跡しその死因を分析した.対象は1946年から1967年までの22年間に癌研外科で胃切除術を受け組織学的に良性が確認された2,045例で,このうち1984年までに死亡が判明した899例に関し,死亡診断書に基づいてその死因を集計した.
 悪性腫瘍による死亡が最も多く204例(22.7%)あり,このうち残胃癌による死亡は14例であった.人年法を用いて相対危険率を計算すると,悪性腫瘍全体では術後20年以上経過した症例について死亡の相対危険率が有意に増加していた(O/E=1.46).部位別では肺癌が最も多く,危険率も胃切後患者全体で高値を示していた(O/E=2.09),これに対し残胃初発癌による死亡の相対危険率は,全体でO/E=0.17,20年以上経過例でO/E=0.27とともに有意に減少していた.癌好発部位が切除されたことが一因と考えられた.

索引用語
gastrectomy for benign diseases, cohort study, cancer mortality, gastric remnant cancer

日消外会誌 24: 14-20, 1991

別刷請求先
岩瀬 拓士 〒170 豊島区上池袋1-37-1 癌研究会付属病院外科

受理年月日
1990年9月12日

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