肝癌に対する術前リピオドール併用肝動脈塞栓術のcomputed tomographyによる効果判定

瀬川　徹, 井沢　邦英, 徳永　茂樹, 浦　一秀, 松元　定次, 江藤　敏文, 元島　幸一, 角田　司, 土屋　凉一

長崎大学第2外科

　原発性肝細胞癌切除例のうち術前リピオドール（Lp）併用肝動脈塞栓術（Lp-TAE）施行後にcomputed tomography（Lp-CT）を行った30例について検討した．男性27例，女性3例であり，平均年齢は59.5歳であった．肝硬変の併存は24例（80％）に認めた．Lp-CTにて腫瘍内のLp集積像は4型に分類できた．I型：びまん性集積型（16例），II型：斑状集積型（7例），III型：点状集積型（4例），IV型：微少集積型（3例）．I型は小結節に，IV型は大結節に多い傾向であった．Lp-TAE前後での50％以上の血清alphafetoprotein減少率の頻度はI型80％，II型50％，III型80％，IV型50％であった．平均腫瘍壊死率はI型79.6％，II型52.1％，III型13.8％，IV型63.3％であったが，I型にのみ100％の完全壊死を7例に認め腫瘍壊死効果が良好であった．腫瘍の組織型では索状型の場合腫瘍壊死効果が良好で，充実型，偽腺管型では不良となる傾向であった．Lp-TAE後のLp-CT像からLp-TAEの効果判定がある程度可能であると考えられた．

索引用語
hepatocellular carcinoma, transcatheter arterial embolization using lipiodol and gelatin sponge, computed tomography after transcatheter arterial embolization using lipiodol and gelatin sponge, accumulation rate, necrotic rate

別刷請求先
瀬川　徹　〒852　長崎市坂本町7-1　長崎大学医学部第2外科

受理年月日
1990年9月12日

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