胆嚢胆管結石を合併した不安定ヘモグロビン症の1例

伊東　重義, 久保　章, 高橋　利通, 鈴木　良人, 松井　孝輔^1）

横須賀市立市民病院外科, 横須賀市立市民病院内科^1）

　球状赤血球症をはじめとする溶血性疾患に胆石症が合併することは多く報告されており，その外科的治療についても検討されている．しかし不安定ヘモグロビン症に合併する胆石症についての報告はほとんど見られない．今回不安定ヘモグロビン症で脾臓摘出後に胆嚢胆管結石を合併した症例を経験したので報告する．症例は17歳，男性で，不安定ヘモグロビン症のため4歳時に脾臓摘出をうけている．上腹部痛を主訴に受診し入院した．腹部超音波検査などで胆石症を指摘されたため，胆嚢摘出術，総胆管切開，経十二指腸乳頭形成術が施行された．胆嚢内ならびに総胆管内の結石成分はビリルビンカルシウム90％，炭酸カルシウム10％であった．溶血性疾患に対する外科的治療には一般に脾臓摘出術が行われている．症例により脾臓摘出時における予防的胆嚢摘出，胆道系へのドレナージ手術を含めた検討が必要であると思われた．

索引用語
cholelithiasis, unstable hemoglobin, hemoglobin Santa Ana

別刷請求先
伊東　重義　〒240-01　横須賀市長坂1-3-2　横須賀市立市民病院外科

受理年月日
1990年10月11日

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