食道・胃静脈瘤に対する直達手術後の静脈瘤再発・遺残に関する検討

青木　春夫, 蓮見　昭武, 吉松　泰彦, 橋村　宏一, 石田　保, 林　収, 金田　友之, 安田　有祐, 織田　直久

藤田学園保健衛生大学消化器外科

　食道・胃静脈瘤に対する直達手術後の静脈瘤の再発・遺残について，その定義を提唱し，機序と対策について検討した．経腹的な粘膜保存胃離断術の施行72例の術後内視鏡所見の推移（平均観察期間4年8か月）は，術後静脈瘤の長期間消失を認めた消失例は44例であったが，いったん消失後再びF₁以上の静脈瘤が出現した再発例を6例に，またF₁以上の静脈瘤の遺残例を22例にそれぞれ認めた．
　再発・遺残の機序を血管造影所見などから検討した結果，門脈側から上行する消化管壁内外の副血行路血流の遮断不完全ないし再疎進などの要因の関与よりも，固有食道動脈血流の遮断不完全による供給血流源としての関与が確認された．この再発・遺残機序に対応した合理的な非観血的追加治療として，選択的固有食道動脈塞栓療法，および内視鏡的硬化療法が効果的で，各治療法の治療原理に基づく合理的な集学的治療が重要と考えられた．

索引用語
recurrence of esophago-gastric varices, remnants of esophago-gastric varices, hemodynamics in recurrent and remnant varices, addtitional treatments for recurrent and remnant varices, trans-catheter arterial embolization of the proper esophageal artery

別刷請求先
青木　春夫　〒470-11　豊明市沓掛町田楽ケ窪1-98　藤田学園保健衛生大学消化器外科

受理年月日
1990年10月11日

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