膵頭部癌における神経浸潤とリンパ節転移

萱原　正都, 永川　宅和, 上野　桂一, 太田　哲生, 小林　弘信, 角谷　直孝, 森　和弘, 中野　達夫, 宮崎　逸夫

金沢大学医学部第2外科

　膵頭部癌切除例44例を対象に神経浸潤を膵内神経浸潤と神経叢内神経浸潤にわけ，リンパ管浸潤，リンパ節転移との関係を臨床病理学的に比較検討した．44例中39例がrpeであり，膵内神経浸潤を40例（91％）にみた．神経叢浸潤はrpe 39例中27例（69％）に認められ，膵内神経浸潤とリンパ管浸潤，リンパ節転移とは相関がなかった．神経叢浸潤と膵内神経浸潤は有意な正の相関がみられたが，リンパ管浸潤やリンパ節転移とは明らかな相関はみられなかった．リンパ管浸潤とリンパ節転移は正の相関をみた．神経叢浸潤陽性例が陰性例に比べ，リンパ節転移率が高く，とくに（14）転移率は神経叢浸潤陽性例が有意に高率であった．しかし，（14）転移陰性例でも10例に膵頭神経叢第2部に浸潤がみられ，神経叢の完全切除が重要と考えられた．

索引用語
pancreas head cancer, neural invasion of the pancreas cancer, plexus invasion of the pancreas cancer, lymph node metastasis of the pancreas cancer, radical retroperitoneal dissection of the pancreas cancer

別刷請求先
萱原　正都　〒920　金沢市宝町13-1　金沢大学医学部第2外科

受理年月日
1990年10月11日

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