症例報告
腐蝕性食道狭窄の治療―広背筋皮弁を用いた食道再建術―
大田 準二, 藤田 博正, 辻 義明, 山名 秀明, 白水 玄山, 南 泰三, 掛川 暉夫
久留米大学医学部第1外科
乾燥剤(生石灰)を誤飲し,食道気管瘻を伴う腐蝕性食道狭窄の女児に対し,広背筋皮弁を胸腔内に誘導する食道形成術および瘻孔閉鎖術が施行された.術後縫合不全が認められたが,筋弁内に限局しており,自然治癒した.
腐蝕性食道狭窄の治療として,有茎腸管によるバイパス術が一般的であるが,われわれは今回,第1に広背筋皮弁の皮弁部で食道を再建し,筋弁部で気管瘻孔閉鎖部を被覆補強する,第2に食道をできるだけ温存するという目的で本術式を行った.一方,本症例の経験から,広背筋皮弁による胸部食道の再建において縫合不全,吻合部狭窄などいくつかの問題点も明らかとなった.
索引用語
corrosive stricture of the esophagus, esophagotracheal fistula, latissimus dorsi myocutaneous flap
別刷請求先
大田 準二 〒830 久留米市旭町67 久留米大学医学部第1外科
受理年月日
1990年11月19日
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