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第24巻 第3号 1991年3月 [目次] [全文 ( PDF 476KB)]
症例報告

線毛円柱上皮よりなる消化管重複症の2例

上松 俊夫, 北村 宏, 岩瀬 正紀, 小栗 孟, 津崎 修, 二村 雄次

磐田市立総合病院外科, 名古屋大学第1外科

 線毛円柱上皮よりなる消化管重複症の2例を経験したので報告する.症例1は14歳の男性で無症状.腹部computed tomographyにて偶然発見された.重複胃は胃体上部後壁に強国に結合,一部筋層を共有していた.大きさは7×4×4 cm.病理組織検査で,重複胃は多列線毛円柱上皮で覆われ,3層の比較的厚い筋層を有した.症例2は15歳男性で主訴は腹痛と嘔吐.イレウスにて手術.重複腸管は回腸にあり,大きさは10×6.5×6.5 cmで,回腸の軸捻転を伴っていた.重複腸管は内面を多列線毛円柱上皮で覆われ,厚い筋層を回腸と共有していた.消化管重複症は種々の発生学的異常に起因するためか,組織学的にも解剖学的にも多彩である.自験例は食道重複症でしばしばみられるように線毛円柱上皮で覆われており,その解剖学的,病理組織学的特徴から,胎生期の前腸に由来する消化管重複症と考えられた.

索引用語
duplication of the alimentary tract, ciliated columnar epithelium, foregut

日消外会誌 24: 871-875, 1991

別刷請求先
上松 俊夫 〒466 名古屋市昭和区鶴舞町65 名古屋大学医学部第1外科

受理年月日
1990年11月19日

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