症例報告
画像にて癌との鑑別が可能であった黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例
塩竈 利昭, 立川 隆義, 寺田 正純, 古井 純一郎, 松尾 繁年, 小原 則博, 江藤 敏文, 松元 定次, 瀬川 徹, 元島 幸一, 角田 司, 井沢 邦英*, 酒井 一守**
長崎大学医学部第2外科, 同 救急部*, 本渡市酒井外科**
黄色肉芽腫性胆嚢炎(xanthogranulomatous cholecystitis)は胆嚢癌との鑑別が困難とされているが,超音波検査ならびにcomputed tomography(CT)検査など画像診断にて鑑別が可能であった症例を経験したので報告する.症例は54歳女性.右季肋部痛の消腿後に,胆嚢に腫瘍性病変を指摘されて来院した.超音波検査では胆嚢底部に全周性に壁肥厚を認め,胆嚢内腔は狭小化していた.肥厚した胆嚢壁内には結節性にhyperechoic lesionを認め,同部は造影CTでlow density areaとして描出された.また,胆嚢頸部には最大径約5 cmの結石を認めた.血管造影では胆嚢動脈は拡張し,肥厚した胆嚢壁に沿って屈曲蛇行した細動脈の増生がみられたが,encasementは明らかでなかった.以上より,胆嚢癌を否定し,XGCの診断のもとに胆嚢摘出術を施行した.切除標本の胆嚢壁内には黄色の結節を認め,組織学的には同部にxanthoma cells,リンパ球および異物型巨細胞を認めた.
索引用語
xanthogranulomatous cholecystitis, ultrasonography, computed tomography, carcinoma of the gallbladder
別刷請求先
塩竈 利昭 〒852 長崎市坂本町7-1 長崎大学医学部第2外科
受理年月日
1990年11月19日
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