症例報告
臍転移にて発見された胆嚢癌の1例
村上 義昭, 児玉 節, 竹末 芳生, 沖田 光昭, 今村 祐司, 瀬分 均, 宮本 勝也, 津村 裕昭, 松浦 雄一郎, 横山 隆*
広島大学第1外科, 同 総合診療部*
若年時より右季肋部痛を認め,臍腫瘤を主訴として来院した41歳,女性に対し,超音波検査,computed tomographyなどにて胆嚢癌の臍転移と診断した.手術は肝床部切除,リンパ節郭清,横行結腸切除を含む胆嚢切除術と臍切除術を施行したが,術中造影にて非拡張型の膵管胆道合流異常(以下,合流異常と略す)を認めた.また,術後は膵液の逆流によると思われる肝機能障害が遷延した.本症例は,非拡張型合流異常に発生した胆嚢癌の典型例であったが,血行性あるいはリンパ行性に臍転移を認めた胆嚢癌というまれな症例であった.
若年者の胆道癌,若年時より右季肋部痛を有する無石慢性胆嚢炎には合流異常を念頭にいれた診断が必要であり,非拡張型合流異常においても,胆道周囲のリンパ節郭清後は,膵液の逆流防止のため分流手術が必要と考える.
索引用語
anomalous arrangement of the pancreaticobiliary ductal system without dilatation of biliary tract, adenocarcinoma of the gallbladder, metastasis to the umbilicus
別刷請求先
村上 義昭 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第1外科
受理年月日
1990年10月11日
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