症例報告
腹腔内感染の波及による動脈破綻出血に対する開創持続洗浄法の経験
木下 平, 丸山 圭一, 笹子 三津留, 岡林 謙蔵
国立がんセンター病院外科
膵切除,あるいは消化管の再建を伴う上腹部手術後に起こる活性化膵液瘻,縫合不全が遷延している時に,突然発症する動脈性の大出血は,致命的な合併症の1つである.
われわれは胃癌手術術後に発生したこの腹腔内動脈破綻による大出血の症例に対し,開腹止血後に,手術創を大きく開創し,出血部位を中心とした持続洗浄を行い,活性化された膵液,消化液による血管の消化作用を予防する方法を考案した.この方法の導入以来,連続して4症例すべての出血のコントロールに成功しており,有用な方法であると考えられる.
索引用語
postoperative intraabdominal bleeding, continuous open peritoneal irrigation, gastric surgery
別刷請求先
木下 平 〒104 中央区築地5-5-1 国立がんセンター外科
受理年月日
1990年11月19日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|