原著
潰瘍性大腸炎,大腸腺腫症に対する回腸肛門吻合術後の直腸肛門機能の検討
竹末 芳生, 横山 隆*, 児玉 節, 宮本 勝也, 村上 義昭, 松浦 雄一郎
広島大学医学部第1外科, 広島大学総合診療部*
結腸全摘,直腸粘膜抜去,回腸肛門吻合術(J-pouch 13例,no-pouch 5例)を潰瘍性大腸炎12例,大腸腺腫症6例に施行し,術後の直腸肛門機能について検討を行った.1日排便回数はJ-pouch例で平均4.7回,no-pouch例で10.0回であり有意の差を認めた.一方両者における回腸末端の貯留能としてsensitive threshold volume(STV)とmaximal tolerance volume(MTV)を比較したが有意の差は認められず,J-pouchの効果は容量の増大のみでなく,腸管の輸送能を低下させることも関与していると考えた.術後の肛門括約筋機能の時間経過による変化を検討した.最大肛門管静止圧は回腸瘻閉鎖直前では39 mmHgと低値を示していたが,閉鎖後1か月では59 mmHgと急速な回復を示した.最大肛門管随意収縮圧の変化も同様であり,術後の肛門機能回復に影響する因子として,手術操作による直接的な傷害以外に廃用性機能低下も考えられ,より早期の回腸瘻閉鎖も考慮すべきと考えた.
索引用語
ulcerative colitis, familial polyposis coli, ileoanal anastomosis, anorectal function, continence
日消外会誌 24: 1008-1012, 1991
別刷請求先
竹末 芳生 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第1外科
受理年月日
1990年12月12日
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