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第24巻 第4号 1991年4月 [目次] [全文 ( PDF 529KB)]
症例報告

食道真菌症をともなった噴門部胃癌の1切除例

首藤 太一, 東野 正幸, 大杉 治司, 裴 光男, 前川 憲昭, 上野 哲史, 安田 晴紀, 徳原 太豪, 谷村 慎哉, 福長 洋介, 木下 博明

大阪市立大学第2外科

 76歳男性,約10年前より糖尿病のため経口血糖降下剤を服用.72歳時に軽度の嚥下困難に対して精査を行い,頸部食道から噴門部直上におよぶ食道真菌症と診断し,抗真菌薬の投与にて経過観察中であった.3年後の上部消化管造影で,胃穹窿部の隆起性病変を発見し,生検で腺癌の診断を得た.開腹所見では腫瘍は噴門部大弯側前壁にあり,食道胃接合部との間に約3 cmの正常粘膜を有していた.そこで腫瘍の口側距離(OW)を2 cmとり,しかも食道胃接合部より1 cm遠位側の胃粘膜と小腸とを吻合する胃全摘術を施行した.術後体表に創感染を認めた以外良好に経過した.
 食道真菌症に胃癌を合併した例(以下本症)の報告は検索範囲ではなく,本症に対して胃全摘術後,真菌症罹患食道との再建術では縫合不全が危惧される.今回は幸運にも罹患食道との吻合を行わずに治癒切除しえたが,場合により危険度の高い吻合もありえたため本症に対する再建術の2,3の工夫を考察した.

索引用語
esophageal mycosis, gastric carcinoma, complication after gastrectomy

日消外会誌 24: 1037-1041, 1991

別刷請求先
首藤 太一 〒545 大阪市阿倍野区旭町1-5-7 大阪市立大学医学部第2外科

受理年月日
1990年12月12日

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