症例報告
胆管十二指腸吻合・胃空腸吻合術後胃癌の1例
田中 信孝, 登 政和, 針原 康, 進藤 俊哉, 斉木 茂樹*
旭中央病院外科, *聖路加国際病院病理
胆嚢内結石に対する胆嚢摘出術後22年,総胆管結石再発に対する総胆管十二指腸吻合,胃空腸吻合,Braun吻合より12年にて胃癌の発生をみた63歳男性の1症例を報告した.胃癌は胃空腸吻合部の対側胃角部にあるIIc早期癌で,組織学的に中分化型腺癌であった.癌巣周辺粘膜は著しい腸上皮化生と萎縮性胃炎を認めた.胃部分切除後Roux Y法にて再建したが,術後9年の現在,健在である.
基礎疾患が胆石症での胃空腸吻合術後胃癌の報告ははじめてと思われるが,発癌機序として胃空腸吻合,胆摘あるいは胆管十二指腸吻合に伴う胆汁ならびに十二指腸液の胃内逆流の関与が推定された.
索引用語
gastric cancer after gastrojejunostomy, gastric cancer after cholecystectomy, duodenogastric reflux
日消外会誌 24: 1047-1050, 1991
別刷請求先
田中 信孝 〒289-25 旭市イ-1326 旭中央病院外科
受理年月日
1990年12月12日
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