症例報告
自然破裂を来した脾嚢胞の1例
森田 美佳, 佐藤 正人, 細田 信道, 是枝 敬
関西医科大学附属男山病院外科
脾嚢胞は比較的まれな疾患であるが,近年,画像検査の普及に伴い,診断も容易になりつつある.最近,われわれは,脾原発粘液嚢胞腺腫の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は,56歳男性,主訴は腹部膨満感.触診にて,左助骨弓下に脾臓を3横指触知した.諸検査にて,脾多房性嚢胞との診断のもと,手術を施行した.開腹時,淡黄色,ゼラチン様の物質が腹膜,奨膜に付着しており,脾臓は小児頭大に腫大,凹凸不整で一部脾被膜が破裂していた.盲腸は虫垂切除後で,特に異常所見は認められなかった.脾臓摘出術を施行し,ゼラチン様物質を可能なかぎり除去した.病理組織学的には,粘液嚢胞腺腫の所見であった.
索引用語
mucinous cystadenoma, splenic cyst, pseudomyxoma peritonei
日消外会誌 24: 1076-1080, 1991
別刷請求先
森田 美佳 〒570 守口市文園町1 関西医科大学外科
受理年月日
1990年12月12日
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