特集
HLA抗原と胃癌のリンパ節転移―縮小手術適応マーカーになりうるか?
生越 喬二, 宮治 正雄, 岩田 邦祐, 原 俊介, 近藤 泰理, 田島 知郎, 三富 利夫
東海大学第2外科
239例の胃癌切除例の術前にHLA抗原とPPD皮膚皮内反応,急性相反応物質,NK細胞,リンパ球サブセットを測定し,リンパ節転移と対比検討したところ,HLA B40,Bw61,Cw3抗原はリンパ節転移抑制抗原,A9(24)抗原はリンパ節促進抗原であると考えられた.深達度m-sm症例では,HLA抗原を測定することによってリンパ節転移の状態が106例中89例(84.0%)同定可能であった.リンパ節転移陰性症例のPPD皮膚皮内反応,急性相反応物質,NK細胞,リンパ球サブセットの検討から,B40抗原陽性例では急性相反応物質が低値,OKT4が高値,OKT8が低値,Leu7が低値をA9(24)では急性相反応物質が高値,OKT4/8が低値,Leu7,Leu11が高値を示した.以上より,胃癌の病態,特にリンパ節転移に関与する遺伝的因子が主要組織適合性複合体遺伝子に強いかかわりをもつ可能性が考えられた.術前のHLA抗原測定によりリンパ節転移が予測され,胃癌の縮小手術が可能と思われる.
索引用語
HLA antigen, gastric cancer, lymph node metastasis
日消外会誌 24: 1091-1095, 1991
別刷請求先
生越 喬二 〒259-11 伊勢原市望星台 東海大学医学部第2外科
受理年月日
1990年10月11日
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