特集
大腸癌肝転移症例の臨床病理学的検討―特に肝転移と静脈侵襲との関係について―
白井 聡, 秋本 伸, 五十嵐 達紀, 渡辺 和義, 北畠 滋郎, 河野 史尊, 太田代 安律, 羽生 富士夫
東京女子医科大学消化器外科
組織学的壁深達度が固有筋層を越えて浸潤している大腸癌切除例263例を対象とし,同時性肝転移症例108例,異時性肝転移症例44例(以下両者を合わせて肝転移群とする),5年以上再発の認められない治癒切除症例111例(以下無再発群とする)の3群に分けて検討した.
全切除標本の腫瘍中心を通る直角2方向切片にVictoria blue-hematoxylin-eosin重染色を行い,静脈侵襲の程度と肝転移の関係を検索した.肝転移群では漿膜下静脈侵襲を117例(77.0%)に認め,無再発群の20例(18.6%)に比べ有意に高率であった.漿膜下侵襲静脈の最大径と肝転移との関係をみると,400 µm以上で肝転移は有意に高率になり,さらに800 µmを越えると同時性肝転移が有意に高率となり,大腸癌肝転移は漿膜下で癌侵襲をうけた静脈の大きさと強く相関することが示された.
索引用語
liver metastasis of colo-rectal cancer, subserosal venous invasion, maximum diameter of vein invaded by cartinoma cells
日消外会誌 24: 1127-1131, 1991
別刷請求先
白井 聡 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科
受理年月日
1990年11月19日
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