特集
同時性大腸癌血行性転移の特徴と肝転移巣に対する治療
山添 善博, 前谷 俊三, 西川 俊邦, 菅 典道, 佐藤 剛平, 戸部 隆吉
京都大学第1外科
大腸癌同時性血行性転移136例を検討しその特徴を探るとともに,異時性を含めた当科の根治的肝切除49例と自己腫瘍抗原感作培養キラー細胞の肝動注(AIT)15例を検討し,治療法の問題点を探った.肝転移症例の予後は肝転移の程度や遠隔転移の有無に大きく左右され,治療は肝転移度別に分けて検討した場合にのみ有意な因子となった.その際肝転移の高度な症例での動注療法はむしろ予後に悪影響を及ぼす可能性が示唆された.肝切除例では径が4 cm以下で多発している症例の予後が悪かった.当科のAITの有効例は小転移巣多発例であり,肝切除後に施行した場合に残肝再発をみた症例はなかった.cost benefitやquality of lifeを考慮した動注療法の適応の見直しとともに,肝切除後の補助療法としてのAITを含めた動注療法の有効性や,肝転移度別の動注療法の効果の違いなどを今後prospectiveに検討する必要があると考えられた.
索引用語
synchronous colorectal hematogeneous metastasis, liver resection, adoptive immunotherapy
日消外会誌 24: 1132-1136, 1991
別刷請求先
山添 善博 〒606 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医学部第1外科
受理年月日
1990年11月19日
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