特集
大腸癌肝転移に対する肝切除の評価
白水 和雄, 磯本 浩晴, 山下 裕一, 諸富 立寿, 荒木 靖三, 掛川 暉夫
久留米大学第1外科
大腸癌肝転移に対する肝切除の評価を臨床病理学的立場から検討し,以下の結果を得た.(1)肝切除例では化学療法例に比べ長期生存例が存在した.(2)肝切除例における肝切除後の生存期間は,リンパ節転移や組織所見(分化度,リンパ管侵襲)などの原発巣側の因子によって有意差が認められた.(3)肝切除の術式,肝転移の時期,程度,個数などの転移巣側の因子については,生存期間に有意差は認められなかった.(4)肝切除後の再発は残肝,肺が高頻度であった.以上のことより(1)肝切除は化学療法よりも有効性があるが,原発巣の組織学的特徴を考慮した合理的肝切除を施行すべきである.(2)肝切除後の再発をいかに予防するかが今後の課題であると考えている.
索引用語
colorectal cancer, liver metastasis, hepatic resection
日消外会誌 24: 1152-1157, 1991
別刷請求先
白水 和雄 〒830 久留米市旭町67 久留米大学医学部第1外科
受理年月日
1990年11月19日
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