原著
術後急性胆嚢炎症例の検討
瀧 順一郎, 中島 祥介, 瀬川 雅数, 久永 倫聖, 薮内 裕也, 青松 幸雄, 木戸 潔, 堀川 雅人, 吉村 淳, 中野 博重
奈良県立医科大学第1外科
1989年度1年間に当科で経験した術後急性胆嚢炎症例について検討を行った.同時期の腹部手術症例は380例であり,そのうち8例(2.1%)に術後胆嚢炎を認め,全例胃癌手術後(92例中8例8.7%)であった.術後に発熱,右季肋部痛を認めるものに対して,積極的に超音波検査を施行し早期発見につとめた.その結果,術後8日以内と比較的早期に食事摂取開始後発症した例では,保存的療法にて治癒せしめることができた.一方,縫合不全などほかの合併症を伴い術後10日目以降に発症した症例では,保存的療法に抵抗した.しかし経皮経肝胆嚢ドレナージにて全例開腹手術を施行することなく治癒した.従来重篤で予後不良であるとされていた術後急性胆嚢炎は,本疾患に対する認識と積極的な超音波検査により,その予後改善が期待される.
索引用語
postoperative acute cholecystitis, ultrasonic examination, percutaneous transhepatic gallbladder drainage
日消外会誌 24: 1215-1219, 1991
別刷請求先
瀧 順一郎 〒634 橿原市四条町840 奈良県立医科大学第1外科
受理年月日
1991年1月16日
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