原著
直腸・肛門癌に対する側方リンパ節郭清の適応に関する検討
山田 一隆, 鮫島 隆志, 鮫島 淳一郎, 春山 勝郎, 桂 禎紀, 長谷 茂也, 丹羽 清志, 石沢 隆, 島津 久明
鹿児島大学第1外科
側方リンパ節郭清を行った直腸癌症例171例を対象に,側方リンパ節の転移状況と郭清の適応について検討した.側方リンパ節転移は26例(15.2%)にみられた.高分化・中分化腺癌の23例において,壁深達度がpmの3例では歯状線(DL)から直腸下縁までの距離は6 cmが最長であり,ss(a1)以上の20例ではDLから9 cmが最長であったが,低分化腺癌の3例では12 cmが最長であった.以上より,側方リンパ節郭清は低分化腺癌を除き,壁深達度がpm以上の症例で,腫瘍下縁がDLから9 cm以下の症例を原則として適応とすべきである.また,腫瘍の局在が左右いずれかで半周以下の症例では,対側の側方リンパ節の転移はみられず,自律神経片側温存手術の適応の可能性が示唆された.一方,側方リンパ節への跳躍転移が5例にみられ,そのうち3群リンパ節への跳躍転移が4例に認められた.
索引用語
iliopelvic lymph node metastases of rectal cancer, indication for iliopelvic lymphadenectomy, unilateral autonomic nerve-preserving operation
日消外会誌 24: 1257-1261, 1991
別刷請求先
山田 一隆 〒890 鹿児島市桜ケ丘8-35-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
1991年1月16日
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