原著
消化器外科手術後におけるmethicillin resistant staphylococcus aureus感染症の対策
炭山 嘉伸, 草地 信也
東邦大学医学部外科学第3講座
最近3年間に教室で経験したMRSAによる術後感染症35例を対象とした.対象期間を6期間にわけて検討すると,I期にはMRSA感染は感染性腸炎の6例を始め,4.3%にみられた.第3世代セフェム剤の使用の適正化により,II期には重症MRSA感染症は減少したが,MRSA感染は創感染や呼吸器感染まで広がり,6.6%と増加した.そこで,患者周囲,空中浮遊菌からMRSAを検索したところ,リカバリー室における院内感染が疑われたため,一般的な院内感染対策のほか,MRSA感染患者の隔離とリカバリー室の消毒を行った.その結果,IV期,V期ではMRSA感染は2.9~3.3%に減少し,VI期にはみられなくなった.また,医療従事者のMRSA保菌やリカバリー室における院内感染はみられなくなった.MRSAによる術後感染の予防には,抗菌剤の使用を適切にするとともに,患者の隔離,病室の消毒を含めた,院内感染対策が有効であると思われた.
索引用語
postoperative MRSA infections, managements of postoperative MRSA infections, enterocolitis caused by MRSA, recent trend of MRSA infections
日消外会誌 24: 1262-1271, 1991
別刷請求先
草地 信也 〒153 目黒区大橋2-17-6 東邦大学医学部外科学第3講座
受理年月日
1991年1月16日
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