肝内結石に伴った肝内胆管癌症例の検討

佐藤　元通, 阿部　康人, 李　俊尚, 堀内　淳, 増田　潤, 木村　茂

愛媛大学医学部第2外科学教室

　肝内結石に併存した肝内胆管癌4例を経験した．肝内結石症が癌に先行した3例の平均病悩期間は8.7年であった．癌と結石の主占居部位は3例で一致した．腫瘍は肉眼的に塊状型2例，びまん型1例，結節型1例に分けられた．腫瘍の肝内浸潤，胆管周囲浸潤，隣接臓器浸潤，リンパ節転移をそれぞれ3，3，2，2例で認めた．肝切除を行った2例中1例で治癒切除しえた．嚢胞腺癌の1例は術後4年現在生存中であるが，他は予後不良であった．腫瘍の組織像は分化型腺癌で，検索しえた3例ではリンパ管侵襲，血管侵襲，神経周囲浸潤をそれぞれ2，1，1例で認めた．非癌部拡張胆管上皮には増殖性胆管炎，異型性を認め，発癌への関与が示唆された．

索引用語
hepatolithiasis, cholangiocarcinoma, proliferative cholangitis

別刷請求先
佐藤　元通　〒791-02　愛媛県温泉郡重信町志津川　愛媛大学医学部第2外科

受理年月日
1990年12月12日

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