症例報告
胆嚢管癌早期例の1例
李 力行, 田中 淳一1), 小山 研二1)
町立田沢湖病院外科, 秋田大学第1外科1)
きわめてまれな発育形式を示した胆嚢管癌早期例1例を経験した.症例は74歳,女性.術前腹部超音波検査,内視鏡的逆行性胆管造影で肝外胆管の拡張と胆管内の腫瘍像として描出され術前上中部管癌と診断した.胆嚢摘出,所属リンパ節の郭清を伴う胆管切除術を施行した.切除標本の検索から腫瘍は26×7 mm大,胆嚢管を発生母地として乳頭型に発育し,腫瘍は3管合流部を通過し胆管腔内に脱出,存在し胆管壁への直接浸潤は認めなかった.組織所見上,乳頭腺癌であり,深達度は線維筋層(fm)までの胆嚢管癌早期例であった.これまでの報告例をみても胆嚢管癌で胆管内にこのような発育形式を示したものは本例だけでありきわめてめずらしい症例と考えられた.
索引用語
early carcinoma of the cystic duct
日消外会誌 24: 1300-1304, 1991
別刷請求先
李 力行 〒010 秋田市南通みその町3-15 明和会中通病院外科
受理年月日
1991年1月16日
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