症例報告
上行結腸悪性リンパ腫の1例
出射 秀樹, 山口 俊昌, 裏川 公章, 中本 光春, 田中 宏明, 磯 篤典, 川北 直人, 西尾 幸男, 植松 清, 長畑 洋司1), 黒田 浩光1), 友永 健治1), 斎藤 洋一1)
神戸労災病院外科, 神戸大学第1外科1)
大腸の原発性悪性リンパ腫はまれな疾患である.今回われわれは上行結腸原発悪性リンパ腫を1例経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は18歳の男性.主訴は虫垂切除後の腹痛,発熱で,右下腹部に鶏卵大の腫瘤を触知した.注腸X線検査,腹部超音波検査,computed tomography検査で右側結腸の腫瘤性病変を疑い手術を施行した.手術所見では盲腸から上行結腸にかけて弾性硬の腫瘤状の壁肥厚と多数の腫大した腸間膜リンパ節を認め,悪性疾患と判断し右半結腸切除術とリンパ節郭清術を施行した.病理組織学的には非Hodgkin悪性リンパ腫で,Lymphoma Study Group分類ではdiffuse large ceoll typeであった.そのcell surface markerは抗B-cell抗体陽性細胞がびまん性に増殖し,IgG,γ型の単クローン性発現を認めた.術後CHOP‐Pepleomycin療法を行い現在外来で経過観察中である.
索引用語
malignant lymphoma of ascending colon, diagnosis of colorectal malignant lymphoma
日消外会誌 24: 1319-1323, 1991
別刷請求先
出射 秀樹 〒654 神戸市須磨区友が丘2-140
受理年月日
1991年2月13日
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