症例報告
成人特発性S状結腸直腸型腸重積症の1例
坂口 雅宏, 田伏 克惇, 山本 誠己, 岡 統三, 下間 仲裕, 堀内 哲也, 南 浩二, 上西 幹洋
国立大阪南病院外科
今回,私達は90歳,女性に発生した特発性腸重積症(S状結腸直腸型)の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
粘血便を主訴に来院し,肛門管を通して赤褐色の腫瘤が直腸内に認められ,その中央部分より粘血便の排出がありS状結腸直腸型の腸重積症と診断された.画像診断上,超音波検査およびcomputed tomographyにて骨盤腔内に同心円状の腫瘤像が認められ,診断に有用であった.手術を施行し,S状結腸が腸間膜も含め腹膜翻転部上5 cmの直腸内へ嵌入し,S状結腸直腸型の腸重積を確認した.嵌入した先進部は浮腫状に腫脹し,一部には壊死も存在した.なお,先進部には腫瘍など器質的変化は認められなかった.
一般的に器質的疾患に起因することがほとんどの成人腸重積症の中にあって,S状結腸直腸型の特発性腸重積症はきわめてまれな1例である.
索引用語
intussusception in adult, idiopathic intussusception
日消外会誌 24: 1324-1327, 1991
別刷請求先
坂口 雅宏 〒586 河内長野市木戸町677-2 国立大阪南病院外科
受理年月日
1991年2月13日
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