原著
予後からみた食道癌の新TNM分類の問題点
吉中 平次, 島津 久明, 福元 俊孝, 馬場 政道, 夏越 祥次, 喜入 厚, 白尾 一定, 愛甲 孝
鹿児島大学医学部第1外科
401例の食道癌切除例を対象として,術後の生存率の面から新TNM分類(pTNM,第4版)の問題点を検討した.Stage 06例,I 40例,IIA 79例,IIB 42例,III 133例,IV 101例の5年生存率はそれぞれ100%,84%,47%,24%,17%,14%であった.Stage IIAまでの早期の症例では予後を比較的良く反映していたが,それ以外の進行症例では生存率との関連が希薄であった.この問題点を克服する修正案として,1)予後に重要な関わりをもつリンパ節転移の有無でStageを明確に区別し,転移のないものをStage IIとし,現行の所属リンパ節に転移のみられるものをStage IIIAとする.2)郭清によってある程度予後の期待できるリンパ節をN2として新たに所属領域に含め,この領域に転移を有するものをStage IIIBとする,3)周囲臓器への浸潤を伴うT4症例と,腹部大動脈周囲リンパ節や臓器へ転移を有するM1症例を予後不良なStage IVとする,などが考えられた.
索引用語
survival rate of esophageal carcinoma, new TNM staging classification, invasion to adjacent structures, lymph node metastasis, distant metastasis
日消外会誌 24: 1892-1898, 1991
別刷請求先
吉中 平次 〒890 鹿児島市桜ケ丘8-35-1 鹿児島大学医学部第1外科
受理年月日
1991年3月13日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|