原著
胃癌における大動脈周囲リンパ節転移に関する臨床病理学的検討
北村 正次, 荒井 邦佳, 宮下 薫
東京都立駒込病院外科
胃癌における大動脈周囲リンパ節転移の実態と郭清の意義および微粒子活性炭を用いたリンパ流について検討を加えた.胃癌66例のリンパ流を検討したが,活性炭の注入部位に関係なく,大動脈周囲リンパ節に高い黒染率を認め,臨床例における癌の局在別にみたリンパ節転移の実態と必ずしも一致しなかった.臨床例では257例に大動脈周囲リンパ節郭清を施行し,59例(23.0%)に転移を認めた.転移率は深達度の進行とともに高くなり,肉眼型では3型,4型で高く,組織型では未分化型で高く,脈管侵襲の進行とともに高率となった.癌の局在と転移部位では,上部胃癌では大動脈左側に高率であったが,中部・下部胃癌では大動脈両側に転移がみられ,郭清を行う上で注意を要する.n4(+)59例のうち,n3(-)群30例の予後は,n3(+)群29例に比較し,有意に(p<0.01)良好であり,No.16リンパ節の郭清の意義を認めた.われわれのNo.16の郭清の適応は,ss,N2(+)以上の症例である.
索引用語
para-aortic lymph node metastasis, gastric cancer, prognosis
日消外会誌 24: 1905-1910, 1991
別刷請求先
北村 正次 〒113 文京区本駒込3-18-22 東京都立駒込病院外科
受理年月日
1991年2月13日
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