原著
残胃癌の臨床病理学的特徴―初発胃上部原発癌と比較して―
小玉 雅志, 小山 裕文, 曽根 純之, 千田 禎佐緒, 成沢 富雄, 小山 研二
秋田大学第1外科
幽門側胃切除後の残胃癌22例の臨床病理学的特徴を初発胃上部(C領域)原発癌268例のそれと比較検討し,また,残胃癌近傍の胃底腺組織所見を観察した.
残胃癌は初発胃上部原発癌と比較し進行例が多く(Stage IV;63%vs 42%),治癒切除率が低く(53%vs 70%),予後不良(5生率;22%vs 41%)であった.その主たる原因は,N3以上のリンパ節転移と多臓器浸潤例の頻度が高いことであった.組織型は,残胃癌で分化型が95%と大多数を占めた.これには,胃切除による残胃粘膜の環境変化が関与していると考えられた.したがって,幽門側胃切除後の残胃癌治療成績向上を図るためには積極的な多臓器合併切除,拡大リンパ節郭清が必須であり,残胃癌発生を減少させるためには,長期生存が期待されるような初発胃癌症例に対し,十二指腸液の逆流を防止するような術式を工夫することが必要と考えられた.
索引用語
remnant gastric cancer, cancer located in upper third of the stomach, clinicopathology of remnant gastric cancer, stage of remnant gastric cancer
日消外会誌 24: 1927-1931, 1991
別刷請求先
小玉 雅志 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学医学部第1外科
受理年月日
1991年2月13日
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