胆嚢癌症例の臨床的検討

若山　達郎, 竹内　豊, 阿部　秀樹, 吉野　篤人, 光定　誠, 高橋　周二, 福島　康正, 服部　博之, 井上　篤, 奥山　正治, 豊田　忠之

東京都立広尾病院外科

　過去10年間の胆嚢癌85症例の臨床的検討を行った．平均年齢は69歳で，男女比は1：1.8であった．臨床症状では腹痛が多く，診断にはCTスキャン，血管造影，超音波検査が有用であった．病期判明例のうち，Stage IIが5例，Stage IIIが6例，Stage IVが68例で進行例が多かった．治療内容では，治癒切除9例，非治癒切除14例，非切除19例，非手術43例であった．Carcinoembryonic antigen値は癌の進行度，組織学的分化度との相関を認めた．治癒切除例の5年生存率は38％で，無再発の長期生存はいずれも高分化腺癌の症例にみられた．切除例の再発様式では，肝門部再発，肝転移が多かった．リンパ節郭清が不十分な症例に肝門部再発が多くみられ，Stage II以上では少なくともR₂郭清が必要と思われた．

索引用語
carcinoma of the gallbladder, diagnosis and treatment of gallbladder cancer, carcinoembryonic antigen levels of gallbladder cancer

別刷請求先
若山　達郎　〒150　渋谷区恵比寿2-34-10　東京都立広尾病院外科

受理年月日
1991年2月13日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です