胆道・膵癌切除不能例に対するradiofrequency誘電加温装置を用いた局所温熱化学療法の有用性

浜副　隆一, 山代　寛, 柴田　俊輔, 広岡　保明, 村田　陽子, 村上　篤信, 前田　迪郎, 西村　興亜, 貝原　信明

鳥取大学第1外科

　非手術例を除く胆道癌非切除例4例と膵癌非切除例6例の計10例に対し，8MHzのradiofrequency（RF）誘電加温装置を用いて局所温熱化学療法を施行した．RF加温は腫瘍内温度42℃・30分を目標に週1回施行した．最高腫瘍内温度とRF最大出力との間には有意な正の相関が認められ，RF最大出力1,000 W以上で腫瘍内温度は有効な42℃以上に上昇した．腫瘍縮小効果は5例に，P.S.の改善と血清腫瘍マーカー値の低下はおのおの6例に認められ，膵癌の有痛例5例中3例に除痛効果が得られた．腫瘍縮小が得られた5例中3例が1年以上，うち1例が2年以上生存中である．温熱化学療法施行例の遠隔成績は従来の化学療法単独施行例の成績よりも良好であった．以上より，切除不能胆道・膵癌に対する温熱化学療法は，高い抗腫瘍効果とともにquality of lifeの改善が得られ，有効な治療法になる可能性が示唆された．

索引用語
bile duct cancer, pancreatic cancer, thermochemotherapy, radiofrequency capacitive hyperthermia, heating efficiency

別刷請求先
浜副　隆一　〒683　米子市西町36-1　鳥取大学医学部第1外科

受理年月日
1991年2月13日

PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です