症例報告
総胆管コレステローシスの2例
徳村 弘実, 清水 文人, 手塚 文明*
町立大河原病院外科, 東北大学抗酸菌病研究所病理学部門*
総胆管コレステローシスの2例を経験した.症例1は53歳の男性で,内視鏡的逆行性胆道膵管造影で胆嚢結石と総胆管末端部付近の小陰影欠損像がみられ総胆管径は10 mmであった.術中胆道鏡で多数の黄白色,小球形の病変が乳頭部直上粘膜に付着していた.胆嚢には純コレステロール結石1個とコレステローシスが存在した.症例2は73歳の女性で胆嚢結石の診断で手術を行ったがウルソの4か月間の内服で結石は溶解消失していた.胆嚢にびまん性のコレステローシスがみられた.総胆管は径17 mmと拡張あり胆道鏡で乳頭部直上に症例1と同様の病変がみられた.組織学的に粘膜上皮下にfoam cellの集簇が認められた.2例とも総胆管コレステローシスに対し胆管匙で摘除するにとどめT字管ドレナージを行った.文献的に本症は胆嚢にコレステロール石やコレステローシスを随伴することが多く,その好発部位も乳頭部直上であった.
索引用語
cholesterosis, common bile duct, papilla of Vater
日消外会誌 24: 2046-2050, 1991
別刷請求先
徳村 弘実 〒981 仙台市青葉区台原4-3-21 東北労災病院外科
受理年月日
1991年2月13日
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