症例報告
切除範囲の決定に術中細胞診が有用であった粘液産生膵癌の2例
米川 正夫, 木村 修, 塩田 摂成, 西村 興亜
鳥取大学第1外科
粘液産生膵癌は,近年報告が増加しつつあるが,病巣が広範囲となるものがあり,その切除範囲の決定には難渋することが多い.今回私どもは膵全体におよぶ粘液産生膵癌の2例を経験し,両者に膵全摘術を施行したが,術中,癌腫の進展範囲を知る上に,膵尾側断端の細胞診が有用であった.2症例はいずれも膵頭部を中心に発生し,症例1は膵頭部まで圧排性の発育を示し,膵全体が腫瘍により置換された様相を呈した.症例2は,主膵管内,ならびに主膵管周囲を連続的に膵尾部まで進展していた.
以上,粘液産生膵癌においては,術中にその進展範囲の決定に難渋する場合があり,このような場合,膵切離面の術中細胞診は切除範囲の決定に有用であると考える.
索引用語
mucin-producing pancreatic cancer, intraoperative cytological examination, total pancreatectomy
日消外会誌 24: 2060-2064, 1991
別刷請求先
木村 修 〒683 米子市西町36-1 鳥取大学医学部第1外科
受理年月日
1991年3月13日
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