症例報告
後腹膜静脈瘤破裂による腹腔内出血の1例
上辻 章二, 岡本 真司, 山村 学, 山道 啓吾, 佐藤 正人, 日置 紘士郎, 山本 政勝
関西医科大学外科
門脈圧亢進症の最も重大な合併症は,静脈瘤からの大出血であり,この破裂による出血は食道胃静脈瘤によくみられる.しかしまれな後腹膜静脈瘤破裂による腹腔内出血の報告もある.今回われわれは,門脈体循環静脈短絡の存在下に後腹膜静脈瘤破裂を来たした症例を経験した.症例は65歳の女性で,下部胆管癌にて膵頭十二指腸切除術を施行し,術後10日目大量の腹腔内出血を来たし再開腹術の結果,脾腎静脈短絡存在下,下後結腸後腹膜静脈瘤破裂による腹腔内出血を認め,短絡および側副血行路結紮術にて救命しえた.腹腔内出血に際しては,後腹膜静脈瘤破裂も考慮し,早期診断とともに破裂静脈瘤結紮術が必要である.
索引用語
hemoperitoneum, intra-abdominal varices, liver cirrhosis
日消外会誌 24: 2070-2074, 1991
別刷請求先
上辻 章二 〒570 守口市文園町1 関西医科大学外科
受理年月日
1991年2月13日
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