症例報告
選択的迷走神経切離術兼幽門形成術後の胃石による腸閉塞の2例
塩見 精朗, 加藤 弘一, 渡部 洋三*
武山加藤病院, 順天堂大学伊豆長岡病院外科*
術後胃に発生した胃石の小腸内嵌頓による腸閉塞はきわめてまれである.われわれは,selective vagotomy+pyloroplasty(以下SV+P)術後の胃石による腸閉塞の2例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告した.
症例1は57歳,男性.昭和47年に十二指腸潰瘍でSV+Pを受けた.昭和56年11月上腹部痛,嘔気,嘔吐を主訴に,腸閉塞の診断で入院.入院3日目に緊急手術を施行し,空腸腸管内に鵞卵大の異物を認め切開摘出した.症例2は54歳,男性.昭和48年に十二指腸潰瘍でSV+Pを受けた.平成元年11月腹痛を主訴に,腹閉塞の診断で人院.小腸造影で腸管内異物による腸閉塞と診断し,入院21日目に手術を施行.回腸腸管内に鶏卵大の異物を認め切開摘出した.2症例とも成分分析の結果,柿胃石と考えられた.
索引用語
selective vagotomy+pyloroplasty, Bezoars, small bowel obstruction
日消外会誌 24: 2075-2079, 1991
別刷請求先
塩見 精朗 〒113 文京区本郷2-1-1 順天堂大学医学部第1外科
受理年月日
1991年3月13日
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