原著
周手術期の輸血が胃癌の生存率に及ぼす影響に関する検討
金光 敬祐, 沢井 清司, 岡野 晋治, 清木 孝祐, 谷口 弘毅, 山口 俊晴, 高橋 俊雄
京都府立医科大学第1外科
1983年から1988年までの間に教室で切除を行った胃癌422例を周手術期(術前・術中・術後)に輸血を行わなかった非輪血群(226例),1,000 ml未満の輸血を行った1,000 ml未満群(105例),および1,000 ml以上の輸血を行った1,000 ml以上群(91例)の3群に分け,周手術期の輸血が胃癌の生存率におよぼす影響について検討した.5年累積生存率は80.5%,46.4%,32.6%の順となり,各群の間に有意差を認め,輸血量の多い症例ほど生存率は不良であった.しかし,輸血量が多かった症例では,高齢者,病期の進んだ症例,肉眼型が浸潤型,深達度の深い症例,リンパ節転移陽性例および胃全摘を行った症例がより多かったので,組織学的病期別に生存率を比較した.その結果,stage IIおよびIVでは,非輸血群の生存率が輸血1,000 ml未満群および輸血1,000 ml以上群と比べて有意に良好であったことからこれらのstageでは周手術期の輸血が予後を不良にしている可能性があるものと考えられた.
索引用語
blood transfusion, the effect of perioperative blood transfusions, survival of patients with gastric cancer
日消外会誌 24: 2119-2125, 1991
別刷請求先
金光 敬祐 〒602 京都市上京区河原町広小路上ル 京都府立医科大学第1外科
受理年月日
1991年4月17日
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