症例報告
Alpha-fetoprotein産生早期胃癌の1例
滝口 哲, 渡辺 清朗, 川上 克彦, 本多 光弥*
大阪回生病院外科, *同 病理
Alpha-fetoprotein(AFP)産生胃癌の報告は多いが,その早期例は,国内では5例の報告をみるにすぎない.われわれは58歳男性の1例を経験した.主訴はなく,検診の胃透視にて胃前庭部に隆起性病変を指摘され,内視鏡検査にて,Borrmann 3型病変で,生検組織は高分化型管状腺癌と判明した.術前検査で,carcinoembryonic antigen(CEA)軽度上昇とAFP上昇がみられた.胃亜全摘術とR2リンパ節郭清を行った.切除標本ではIIa+IIc早期胃癌で,粘膜層は主に中分化腺癌でCEA染色陽性,粘膜下層は主に低分化腺癌でAFP染色陽性を示した.末梢血中CEA,AFP値は術後2か月で正常に復した.術後10か月経過し,肝転移や再発の徴候なく生存中である.
索引用語
α-fetoprotein, α-fetoprotein producing gastric cancer early gastric cancer
日消外会誌 24: 2206-2210, 1991
別刷請求先
滝口 哲 〒871-01 中津市大字永添510 中津胃腸病院
受理年月日
1991年4月17日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|