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第24巻 第8号 1991年8月 [目次] [全文 ( PDF 487KB)]
症例報告

Adenomyomatosisに併存した早期胆嚢癌の1例

長見 晴彦, 田村 勝洋, 野原 隆彦, 山本 剛史, 中川 正久, 中瀬 明

第二出雲市民病院外科, 島根医科大学第1外科

 今回,私たちはadenomyomatosis(ADM)によって形成された二房性胆嚢に胆石症と早期胆嚢癌を合併した症例を経験した.症例は72歳,女性で術前endoscopic retrograde chotangiography(ERC)にて二房性胆嚢に合併した胆石症と診断し,胆嚢摘出術を施行した.摘出胆嚢底部には径2.5 cm大の結石を認め,また切除標本の病理組織学的検索にて胆嚢底部には慢性胆嚢炎像を,胆嚢体部にはRokitansky Aschoff sinus(RAS)の増殖によるsegmental ADMを認め,さらにADM部より頸部側では約4.7 cm×4.0 cm大の範囲に拡がる早期胆嚢癌巣(well differentiated adenocarcinoma:m RAS ss)を認めた.文献的にはADMと胆嚢癌の合併報告例は本邦では自験例も含めて6例の報告があるのみで,自験例を除く5例はいずれも癌巣がADMより底部側に存在しているのに対し,自験例のみADMより頸部側に存在しておりADMの癌化説を示唆する症例である.

索引用語
adenomyomatosis, early gallbladder cancer, hourglass deformity of the gallbladder

日消外会誌 24: 2251-2255, 1991

別刷請求先
長見 晴彦 〒693 出雲市知井宮町238 第二出雲市民病院外科

受理年月日
1991年3月13日

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