卒後教育セミナー
頸部食道癌に対する有茎結腸による再建法
藤巻 雅夫
富山医科薬科大学第2外科
頸部食道癌に対する食道再建臓器として,進行度が低く良好な予後が期待される症例や胃切除後の症例などに対しては,再建経路のいかんにかかわらず十分な長さの再建臓器の間置が可能である点,胃を温存し術後の栄養面の向上を期待できる点などにより,先ず有茎結腸の利用を第1選択としている.腹腔内の状況によって血管茎を選択し,可能な限り横行結腸片,右側結腸片を用いて順蠕動性の配置を行うが,場合により左側結腸片の逆蠕動性配置も考慮しておかねばならない.結腸片の作成にあたっては,血管走行異常も時に経験されるため,transilluminationによって血管走行を確認した後,血管茎を選択することや,再建に必要な利用結腸片の長さを辺縁動脈に沿って測定すること,結腸片挙上時に血管茎にゆとりをもたせることが重要である.また結腸片をたるみや捻れのないように挙上し,下咽頭部の吻合では,吻合臓器に応じて口径差を補正することが必要である.
索引用語
esophageal reconstruction, carcinoma of cervical esophagus, colon replacement
日消外会誌 24: 2299-2302, 1991
別刷請求先
藤巻 雅夫 〒930-01 富山市杉谷2630 富山医科薬科大学第2外科
受理年月日
1991年4月17日
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