卒後教育セミナー
遊離腸管移植による頸部食道再建
波利井 清紀
東京大学医学部形成外科学教室
下咽頭・頸部食道癌切除後の頸部食道の再建は,古くから外科医にとっての重要な課題の1つであった.血管吻合による遊離腸管の移植は最近理想的な食道再建法の1つとして推奨されているが,本法は歴史的に見て1959年Seidenbergら,1962年中山らにより既に開発されていたのは有名である.しかし,裸眼による直径3 mm程度の血管吻合は不確実で手技的にも困難であったためか一般化するには至らなかった.
マイクロサージャリーの発達は3 mm以下の細小血管の吻合を確実かつ容易なものとし,この利用により遊離腸管移植も劇的な復活を遂げ頸部食道再建の標準的な術式の一つとして推奨されるようになった.本稿では,著者らが1982年以来経験した116例の腸管移植(空腸:115例,回腸:1例)を分析するとともに,遊離空腸移植の手術手技の要点を紹介する.
索引用語
esophageal reconstruction, free jejunal transfer, microsurgery
日消外会誌 24: 2303-2307, 1991
別刷請求先
波利井清紀 〒113 文京区本郷7-3-1 東京大学医学部形成外科
受理年月日
1991年4月17日
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