原著
小肝細胞癌に対する肝切除術とtranscatheter arterial embolizationとの治療成績の比較
泉 良平, 清水 康一, 桐山 正人, 橋本 哲夫, 浦出 雅昭, 伊与部 尊和, 岩佐 和典, 桝谷 博孝, 八木 雅夫, 宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
腫瘍最大径3 cm以下の肝癌102症例の予後について,治療法の違いによる予後の検討を行った.肝切除術50例では絶対的治癒切除術12例,相対治癒切除術19例,相対非治癒切除術15例,絶対非治癒切除術4例が行われた.Transcatheter arterial embolization(TAE)52例中24例ではTAEを1回のみ(TAE-O),残る28例では2回以上(TAE-TM)行った.治癒切除例の予後はTAE例よりも良好であったが,非治癒切除例とTAE例間には有意差は認められなかった.肝内転移陰性例では,肝切除例の予後が有意に良好であったが,肝内転移陽性例では差は認めなかった.TAE-OとTAE-TMではTAE-TMの予後が有意に良好であったが,いずれも絶対治癒切除例の予後よりも不良であった.相対治癒切除例の予後はTAE-Oよりも良好であったが,TAE-TMとの比較では4年生存率でのみ有意差が認められた.小肝癌の治療に際しては,良好な予後をうるためには治癒切除術が必要である.
索引用語
hepatocellular carcinoma, hepatic resection, transcatheter arterial embolization
日消外会誌 24: 2358-2362, 1991
別刷請求先
泉 良平 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1991年4月17日
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