原著
大腸癌における血清α1 acid glycoprotein,prealbumin比の意義に関する臨床的研究
藤森 勝
帯広厚生病院外科
一元放射状免疫拡散法により大腸癌120例の血清α1 acid glycoprotein,prealbumin比(cancer serum index,以下CSI)を測定し,carcinoembryonic antigen(以下CEA)と対比しつつその臨床的意義を検討した.CSIはstageの進行とともに上昇し,2.20をカットオフ値とすると大腸癌の陽性率は77.5%であったが,炎症性消化器疾患でも86.1%と高値であった.CSIは腫瘍径と正の相関をもち,s(a),n因子との関連が大きかった.一方CEAは腫瘍径と有意の相関をもたず,H因子との関連が大きかった.CSI,CEAともに非治癒手術群が治癒手術群に対して有意に高値であったが,非治癒手術群の22.7%はCEA正常例であった.術後再発例ではいずれもCEAの上昇が先行していた.以上からCSIは大腸癌のスクリーニングまたは再発のモニターとして用いるには不適当であるが,CEAとのcombination assayにより進行度の評価ならびに治癒手術可能性の判定に有用であることが示された.
索引用語
cancer serum index, single radial immunodiffusion, colorectal cancer, carcinoembryonic antigen, combination assay
日消外会誌 24: 2363-2372, 1991
別刷請求先
藤森 勝 〒080 帯広市西6条南8丁目 帯広厚生病院外科
受理年月日
1991年4月17日
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