症例報告
後胃動脈を介して再発した直達術後静脈瘤の1例
長田 哲雄, 芦田 寛, 高木 一光, 西岡 昭彦, 橋本 直樹, 琴浦 義尚, 宇都宮 譲二
兵庫医科大学第2外科
症例は54歳の男で肝硬変例.主訴は食道胃静脈瘤術後再発であり,経腹的食道離断後7年4か月目の腹部血管造影にて,門脈系の遠肝性側副血行路の関与はなく,残存した後胃動脈を供給路とする食道胃静脈瘤再発を確認できた.また,初回手術時に温存した巨大な胃腎短絡路も認めた.本症例に対しては,後胃動脈のTAE後内視鏡的硬化療法を付加し,静脈瘤の消退をみた.静脈瘤再発機序としては,後胃動脈が関与した局所の循循環亢進状態の存在が大いに関係しているといえた.一方,胃噴門部近傍に存在する胃腎短絡路が再発静脈瘤の排出路となりえなかった.
胃噴門部領域の興味ある血行動態を呈した直達術後食道胃静脈瘤再発症例につき報告した.
索引用語
recurrent esopahgogastic varices, posterior gastric artery, transarterial embolization
日消外会誌 24: 2395-2399, 1991
別刷請求先
芦田 寛 〒663 兵庫県西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学第2外科
受理年月日
1991年4月17日
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