症例報告
スキルス胃癌との鑑別が困難であった胃蜂窩織炎の1例
東山 考一, 永瀬 敏明, 藤巻 雅夫*
小海赤十字病院外科, *富山医科薬科大学第2外科
胃潰瘍が成因と思われスキルス胃癌との鑑別が困難であった漫性び漫性胃蜂窩織炎の1例を経験したので報告する.
患者は64歳男性.肺炎の診断で当院内科入院中吐血で発症.胃造影X線検査および胃内視鏡でスキルス胃癌を強く疑われたが胃生検上悪性所見は得られなかった.手術所見では胃は手拳大に萎縮しており胃全摘・脾合併切除術を行った.病理所見では広範囲に潰瘍が広がり胃壁の線維性肥厚と著明な形質細胞の浸潤を認め慢性胃蜂窩織炎の診断を得た.
胃蜂窩織炎はまれであり極めて診断困難な疾患であるが,診断にあたってはまず本症の存在を念頭におく必要があると痛感した.
索引用語
phlegmonous gastritis, scirrhous carcinoma, preoperative diagnosis
日消外会誌 24: 2400-2404, 1991
別刷請求先
東山 考一 〒950 新潟市上木戸777 木戸病院外科
受理年月日
1991年4月17日
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