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第24巻 第9号 1991年9月 [目次] [全文 ( PDF 389KB)]
症例報告

十二指腸球部に脱出した胃体上部腺腫の1例

市成 秀樹, 井上 正邦, 関屋 亮, 崎浜 正人, 松崎 泰憲, 谷川 誠, 柴田 紘一郎, 古賀 保範, 百瀬 寿之1)

宮崎医科大学第2外科, 百瀬病院1)

 症例は71歳,男性.脳梗塞にて入院中に上腹部不快感を訴え,検査にて貧血,低蛋白血症および便潜血を認めた.上部消化管X線検査にて胃体上部大攣側から前庭部を結ぶ線状陰影,十二指腸球部のカリフラワー状腫瘤を認めた,十二指腸腫瘍の診断であった.内視鏡検査では胃体上部に存在する山田IV型ポリープの十二指腸球部への脱出が観察され,生検の結果はGroup IIIであった.悪性も否定できず,またポリペクトミーは困難と判断されたので胃亜全摘術を施行した.切除標本では,ポリープは胃体上部大攣側に存在し,径7 cmで2個の頭を有し,茎はほとんど認められなかった.病理組織診断は腺管腺腫であった.
 胃隆起性病変の十二指腸脱出の報告は比較的少なく,特に胃体上部以上の腫瘍脱出の報告はまれである.本邦報告例をみると,われわれの検索した範囲では本症例も含め10例のみであり,うち上皮性腫瘍の脱出は本症例のみであった.文献的考察を加え報告した.

索引用語
prolapsed tumor of the stomach, tubular adenoma of the stomach

日消外会誌 24: 2405-2408, 1991

別刷請求先
市成 秀樹 〒889-16 宮崎県宮崎郡清武町大字木原5200 宮崎医科大学第2外科

受理年月日
1991年4月17日

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